~いざ、美しき軽井沢の森へ~

夏から秋へ

夏から秋へ

夏から秋へ。。。

■そよ風と光と睦む北欧の
薔薇の香りぞ海を渡りぬ

■若き日の君の瞳を紅(くれない)に
染めた蔓薔薇時に散るらむ

■穢れなき瞳にいのちの火を燃やす
子栗鼠を抱く森の温もり

■梢から梢へ渡る栗鼠たちの
姿に吾も風を覚えむ

■母栗鼠と別れてひとり生きる子の
行く末思いじっと背を追う

■夏の陽も包みて己の色に染め
吾に微笑む妖精の薔薇

■絵筆もち天使が空から舞い降りて
染め上げたるは薔薇のひと房

■涼しげに小さく震える野の花よ
声なき声で何を語らむ

■浅間山うちに秘めたる激情を
押し隠するは貴婦人の笑み

■年月の川はいずこへ夏休み
少女の目になる幼なじみや

■恋心綾も漂う花びらの
色に乙女の想いぞ見ゆる

■そよ風に恋して染めた頬の色
こぼれて咲きしニンフの薔薇かな

■夏の日に命を朱に染め燃やさむと
生まれし花の歌ぞ聞こゆる

■風の音のげに歌声にも聞こゆるは
命燃やする夏の朱の花

■母の蔭寄り添い覗く子なれど
いつしか咲かむ母を背負いて

■淡き色萼につけしは紫陽花の
花なきあとに余韻残せし

■白薔薇のにごりにしまぬ無垢の色
心の陰を映し見ゆるか

■緑なる葉守りの神の言葉なき
想いぞあふるる聖なる森かな

■色も香もあはれと思う絞り花
絵画の中より咲きにけらしも

■黒斑山荒き岩肌屹立し
雄々しく守るは浅間の姫君

■彼の地にて目にした薔薇の麗しき
時流るるも我忘れめや

■花か実か問わば問えよと夏椿
いのちぞつなぐ玉響の秋

■曙の光を受けてうたかたの
笑み開きたる東雲の草

■花の色濃いも薄いもこきまぜて
野を飾りたる夏の錦か

■色と香も荒みて果てる時の世の
君の御影を薔薇に見立てむ

■茜空花もひとつに霞みつつ
雅の野に見ゆ黄昏どきかな

■夏立ちて盛りを移す野の花よ
残りて吾に何を語るや

■野の花の移りにけりなおみなごの
心模様をしかと読めとや

■彼の岸の住み家をあとに迎え火の
灯り訪ねて御魂集いぬ

■蝉の声薄れて秋の虫の音に
季節の移ろい知りてあはれぶ

■空の青樹木の緑と花の香を
抱きて絵となる夏の庭かな

■ゆく夏の情けぞ見ゆる庭隅や
ほのぼの薫る一輪の花

■二枚石巌となりて雨境
こゆる思いを呑んで鳴きぬる

■雨上がり葉擦れの音に聞こゆるは
深まる秋の息づかいかな

■やがてくる別れを知りてか薄れゆく
においを恋うる栗鼠ぞ哀しき

■翳りさえ我が身にくみすとほくそ笑む
深紅の薔薇に闇ぞ浮かびぬ

■この森の理とふてひと夏の
いのちを歌う蝉ぞ哀しき

■森の中緑の衣を纏いつつ
栗鼠ぞ光になりて風追う

■風吹けば抱きた秋が舞い落ちて
緑薄れる長月の森

■風吹けば契りありてや萩の花
秋の訪れひそやかに告ぐ

■夏の園天使の形見とおぼゆ花
古の地へと吾をいざなう

■背高の黄色の花咲く麒麟草
長月の野のバレリーナたち

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