~いざ、美しき軽井沢の森へ~

深まる秋を詠む

深まる秋を詠む

深まる秋を詠む。。。

■コサージュの色映ろへば白き肌
     紅(くれない)にほふ喝采の中

■秋霖(しゅうりん)に葉陰の緑も濡れ落ちて
     一夜一夜に錦繍を縫ふ

■三叉路にたちた神庫 (ほくら) にこうべ垂れ
     野アザミ頬を染めて祈らむ

■風渡りコスモスのその無心なる
     笑みぞこぼるる秋の野辺かな

■秋桜の咲き乱るるは秋風の
     ほのかに吹かむ野辺の道の端

■山の端の緑に浮かぶコスモスの
     色目に染みる秋のあけぼの

■暮れなずむ深草(ふかくさ)の野に輝ける
     星と見紛うコスモスの花

■道の辺を薄紅の色に染め上げて
     春を装ふ秋桜(あきざくら)かな

■よもに吹く秋風に散るコスモスの
     色を惜しみて蝶舞いにけり

■寝すぎたか蝉が今頃殻をぬぐ
     急ぐなゆっくり命を燃やせ

■深き森霧を纏いて木霊らの
     音なき声で何をか語るや

■野分け吹き紫の帆に風はらみ
     深草(みくさ)に沈む釣舟草かな

■秋風の音色に合わせてタップ踏む
     毛糸の帽子も粋な野アザミ

■孤高なる厳しき薫りに吹く風も
     戸惑い隠せぬ桔梗の花かな

■野にありてぼんぼり灯す秋明菊
     秋の長夜をいざない招くや

■十五夜の月の明かりに照らされて
     野ウサギ踊ればススキが笑う

■葉の先に舞い降りた秋振りもせず
     移ろう色に染むカエデかな

■誰も見ぬ空に十六夜う月あかり
     かなしからむと闇を覆うや

■ふと見れば木漏れ日の色も黄昏て
     秋の深さをしばしあはれぶ

■山栗のほのかな甘みを好むのは
     熊とて同じ遭遇注意

■萩の葉に肌寒き風吹くなへに
     紅葉(もみじ)深まり山を染めぬる

■縫うように湖畔を染める秋の風
     錦繍の絵に心とろめく

■野にありて見返られずとも微笑を
     浮かべしヒメジョンあわれなるかな

■飄々と長き手足を泳がせて
     シャルウイダンスと誘うカマキリ

■風流人好む好まぬさておいて
     爪隠してこそ偉人たるかな

■我が森の栗鼠のほおばる日を思い
     あけび絡めるときぞ楽しき

■翅休めふたたび渡りに舞い上がる
     浅葱の姿に我手を合わす

■色なせる光の裏のその影に
     恨みを隠してトリカブト咲く

■水面割り稲妻呼びて空を舞ひ
     龍神睨む現世ぞ悲しや

■滝の音に心の襞も洗われて
     惑い消えぬる静寂の中

■山肌を轟き落ちる大滝の
     しぶきぞ吾の心洗ひぬ

■鬼の居ぬあいだに石積む幼子の
     背を見て地蔵よ何を語るか

■目に映る錦繍の色に和むると
     キジバト笑ふ声ぞ聞きたし

■色づいたもみじ葉の陰胡桃抱く
     栗鼠の姿に笑みぞこぼるる

■森の樹の枝駆け抜ける栗鼠の背に
     何処へゆくのかいつか尋ねむ

■錦繍を纏いた栗鼠のやさしげな
     姿にしばし時を忘れぬ

■秋の中もみじ葉の色濃き薄き
     木漏れ日までも染め上げるかも

■母栗鼠と別れて独り生きる子の
     野の宿命ぞいとあはれなり

■薄き濃き紫の実に平安の
     雅みゆるやムラサキシキブ

■森の海樹木の揺れの波立てば
     風ぞ渡りて道を残さむ

■黄金の色に染まりて樹間縫う
     栗鼠追う我も風をおぼゆる

■独りゆく道の険しさ知るゆえに
     石橋叩きて生く栗鼠いとしや

■晩秋の森を彩る精霊の
     宿りて紅きいろはもみじか

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