~いざ、美しき軽井沢の森へ~

鳥の災難

鳥の災難

昨日の朝、シメが1羽、バーンという大きな音をたてて、
テラスドアのガラスに激突して落下しました。
いままでも何回かありました。
即死が2回。
手にとったとたんに元気よく飛び立っていったのが1回。
でも今回は脳震盪を起こして失神しているのでしょうか。
見るとまだ息をしています。
こりゃほっとけぬ……。
あわてて手袋を探しに走りました。

こういうとき、
細菌や寄生虫などをもらわないためにも、
反対に人間の臭いをつけないためにも、
素手で触るのはNGです。
手袋をはめなければなりません。

作業用のゴム手袋を引っ張り出したわたしは、
それをはめるのももどかしく、
テラスドアを開けて外に出ると、
まだピクピクと痙攣しつづけているシメを、
両手で掬うようにしてそっと抱き上げてやりました。

すると、そのシメさん、
ギャッと驚いたような声を上げて覚醒したかと思うと、
足の爪を立てて必死に手袋にしがみついてきます。
でも、飛び立とうとする意欲はなさそうで、
もがきもしなければ、逃がれようともせず、
半分目を閉じてじーっとしています。
あの分厚くて鋭い嘴も堅く閉じたままです。
大きく荒い息をしながら。
目のふちについている木屑を拭ってやっても、
されるがまま……。

以前、冬場に野鳥が窓ガラスに激突して失神したら、
すぐに温めてあげないと凍死してしまうよ、
という話をきいていたので、
外は寒かろう、と、家の中に入り、
薪ストーブの前でそっと両手で包みこむようにしても、
依然、じーっとしたまま。
薪ストーブで手を温めて、
頑張れ、頑張れ、と唱えながら、
何度も背中を撫でてやるのですが、
あまり反応がありません。
こんなに小さな体だもの、やっぱり助からないのかなあ……。
あきらめに似た気持ちが湧きあがってきます。
それでも、
柔らかくて温かい体の感触が手の平に伝わってきたとき、
ああ、このいのち、まだ生きているんだなあ……。
助けられるものならば、生かしてあげたいなあ……。
切なる思いがこみあげてきます。

10分くらいそうしていたでしょうか。
脳震盪が治まってきたのか、
目を開いては閉じ、
閉じては開き、を繰り返しながら、
やっとあのシメ独特の大きな目がパッチリと開きました。
そして、2本の足でしっかりと立ってくれました。
もう大丈夫だろうか……。
まだまだ胸で大きく息をしているし、
しばらく家の中で温めてやったほうがいいだろうか……。
いやいや、
やはりすぐに飛び立てるところに置いたほうがいいのではないだろうか……。
迷いながらも、思い切って、外に出すことにしました。
飛び立ちやすいようにと、
テラスドアを出たすぐのところにある棚の上に置いてやりました。
そこだと、中からもよく見えるので、
万が一、ネコやカラスがきても追い払えます。
屋根もついているし、雪が落ちてくることもありません。

でも……、
30分経っても、45分経っても、
荒い息をしながらじーっと座りこんだままです。
体も少しずつ沈んでゆきます。
どうしよう……。
このままこの子は死んでしまうのかな……。
内臓破裂や脳損傷とか起こしているのかな……。

獣医さんに尋ねても、
そのままにしておくように、とのこと。
一度保護してしまうと、人間の臭いがついて、
野生に戻ったときに、
仲間たちから嫌われたり、
他の動物を引き寄せたりするとか。
それに法律によって、野鳥の保護は禁止されているとか。
でも、それは飼育目的の場合だと思うのですが……。

うーん、どうしたものか。
ここでちょっと手を加えてあげることで、
助かるいのちならば、何とかしてあげたい……。
自然淘汰とか、自然の摂理とか、
そういったものはその後でもいいではないか……。

悩みつつ、1時間ほどしてもう一度、
傍にいって様子をみようとテラスドアのノブに手をかけたときでした。
何と、そのわたしの気配を察したかのように、
キリリっと胸を張ると、
バサバサっと翼を広げて、
自力で飛び立っていってくれたではないですか。

生命力の強い子だったんですね。
感動しました。
その逞しい生命力があれば大丈夫。
春になったら、きっと元気に、
仲間たちと一緒にシベリアへ渡っていってくれるでしょう。

小さないのち。
この雪に覆われた軽井沢で、
必死になって生き抜こうとしている小さないのち。
ここにもあそこにもいっぱい……。
そのいのちのもつ感動をもらって、
しばらくわたしも元気で過ごせそうです。

【参考】野鳥が窓ガラスに激突するケースは多く見られます。
昨日、fbでみんなにアドバイスを求めたところ、
早速、友人が、こういうときのお役立ちサイトを見つけてくれました。
ちょっとした工夫や介助で助かるいのち、たくさんあります。
参考にしていただければと思います。
公益財団法人日本鳥類保護連盟
「ガラスに激突する鳥たち」
http://www.jspb.org/mado/mado.html

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